medium 霊媒探偵城塚翡翠
小説

medium 霊媒探偵城塚翡翠 書評

効能

一級品の推理力が身につきます

こんな人にオススメ

伏線回収の展開が好きな方

え!? 話題の小説 mediumを読んでいないの?

みなさんは巷で話題になっている小説 medium をご存知ですか?
電車の中吊り広告でも多く見かけるため、題名と表表紙はわかるよ、という方もいるのではないでしょうか。
ちなみにこの記事は medium 霊媒探偵城塚翡翠 のネタバレは含んでいませんのでご安心を。
各所で話題となっている本書。例に漏れなく〇〇の一位! という形で紹介されていました。何の一位かは忘れましたが。

一位 1位 No.1 Top of the WORLD

なんだか惹かれちゃいますよね?私も根っからのミーハーなので、ついつい買っちゃいました。
そう、あれはよく晴れた、冬の寒さが身にしみる日でした。

– 何がこの小説をよくわからないランキングの一位にさせるのか? –
その好奇心を抑えられず、管理人は一冊の本を手にとった。
「ふーん、よくあるミステリ小説みたいだね。僕が読むに値するのかな?」
実際にこの独り言を書店でつぶやく勇気はないが、わたしは年末の慌ただしい書店のレジにこの本を小脇に抱え、並ぶことにした。
「もう年末か。年々、年が終わるのが早く感じるようになってきたな。僕も、それなりに熟成されてきた、ってことかね」
よくわからないことを心でつぶやきながら、クリスマスとお正月特集が組まれた異国情緒溢れる本棚を見つつ、この国の人びとの外界の文化を取り入れる柔軟性と強かさに想いを馳せた。
このときの管理人はこの本の終章にあるクライマックスを知る由もなかったのだ。

medium 意味 その言葉に隠された真意

本書のタイトルである medium は辞書によると

1 中位, 中間, 中ほど, 中庸
2 中程度[中位]の物;中間物
3 (生物の)生息場所, 生活環境[条件]
4 (伝達などの)手段;媒介, 媒体
5 《生物》(標本の)保存液, 封入剤;《細菌》培地, 培養基(culture medium)
6 《美術》(絵の具を溶く)媒材, 展色剤;制作材料;(芸術表現の)手段, 技法((for …))
7 (複~s)霊媒, みこ
8 《論理学》(三段論法の)媒辞

という意味を持つようです。
このmediumという言葉がこの本の主人公である城塚翡翠ちゃんの特徴を表しています。
物語は霊媒探偵というよくわからない肩書を持つ可愛い城塚翡翠ちゃんと、職業不詳、小説家?みたいなことをしている香月史郎を中心に進めていかれます。

その事件は、様々な理由からマスコミの注目を集めていた。
その影響だろう。香月が霊能力者と共に事件を解決しているという噂が、ここのところネットや週刊誌などで拡散しているらしい。
そして、この噂は正しいものだった。
これまで、香月史郎は、城塚翡翠という霊媒の娘と共に、様々な事件を解決してきた。
そう、霊媒の力を使って–

medium 霊媒探偵城塚翡翠

そう、この本の主人公は死者を呼び寄せる霊媒の能力、および現代科学では説明のつかない不思議な力を使って様々な事件を解決していくのです。
そして、その物語の各所に、最終章につながる「伏線」が仕組まれており、圧倒的なクライマックス感を演出しているのです。
読み終えたとき、それぞれの章を見返したくなる気持ちになるはずです。
著者の相沢沙呼さんは伏線の鬼。プロットの魔術師。最高の人たらしです。
ちなみに、この本の表紙にある女性が主人公の城塚翡翠なのですが、この表紙にも伏線が含まれているという罪深き本になっております。

medium 霊媒探偵城塚翡翠 感想・レビュー

久しぶりに本格ミステリー小説を読みましたが、やはり面白いですね。
小説の何が楽しいって、言葉によってその人の最高、もしくは最低を頭の中で勝手に描写されていくことですよね。
「誰もが振り返る絶世の美女がその場の空気を一変させた」
という記述があったとして、絶世の美女って人それぞれ、違う人をイメージするんですよ。
ある人はグラマーかもしれないし、ある人はスレンダーな女性を想像するかもしれないし。
言葉で定義することによって、その人ごとに異なるイメージが展開されるというのは小説の醍醐味ではないでしょうか。
本書ではそのイメージを逆手にとって、驚愕のクライマックスが描写されていますので、 ミステリー小説愛好家はもちろん、小説入門者にもおすすめできるものになっています。
是非とも本書を手にとって、不思議な世界観を体験してみてください。