敗者のゲームの画像。投資における絶対原則、勝利の鉄則を紹介している本書は現在までに6版の改版が行われており、時代を超えて多くの投資家のバイブルとなっている。
お金

敗者のゲーム 書評

効能

勝者になれます

こんな人にオススメ

投資に時間をかけたくない方 気軽にモンスターを狩りに出かけたい方

あの日、私は狩りに出かけていた

あの事件が起きたのは2018年1月26日。
そう、仮想通貨のNEMがクラッキングにより、Coincheckから外部に流出した事件が起きた日です。
なぜそんなにその日付を覚えているかって?
そう、それはこの日がモンスターハンター:ワールドの発売日であったからです。
その発売日、予約していたお店からモンスターハンターを引き取り、意気揚々と帰路についていました。
家に着いてからも嫁の制止を振り払い、すぐにPS4に向かう私。
夢中になって異世界のモンスターを狩っている私にとって、メールのアラートに気付く余裕はなく、そのままハンティングを楽しんでいました。
その後、一息ついたところでメールを確認すると、おびただしい量のアラートメールが!
なぜメールが来たか、みなさん、気になりますよね?
それは、私が構築したスーパーシステム、その名も「仮想通貨が暴落したら教えてねシステム(略称:KBOS)」が発動したからです。
取引をしていた仮想通貨の価格をウォッチし、前日比で10%を超える価格の下落があった場合、メールに転送するシステムを自前で構築していたのです。
そのメールがバスンバスン送られてきたんです! 
(メール受信の擬音がバスンってどうなのよ?という厳しいツッコミはやめてください。)

急いでSNSやテレビを確認する私。状況を認識した後に、

「あ、オワタ」

という何のひねりもないことをつぶやき、その場に立ち尽くしていました。。。。

敗者のゲーム? 私には関係ないね

実は仮想通貨を始める前に本書を読んではいたんです。
読んではいましたが、他の投資本もいくつか読んでおり、当時は
「なんて弱気な投資方法や。ワシはこんな弱気な投資スタイルちゃうで。多分、才能あると思うねん。勝者になったるわ。ワシはハンターなんや。ちょっくら一狩り行って来るで!」
というなんとも香ばしい勘違いをしていました。
投資の神様、ウォーレン・バフェットも株の短期売買を批判しており、投資家の短期的なトレンド投資、目先の利益を追った投資スタイルに警鈴を鳴らしていました。
が、人とはおろかなもので、なぜか特定分野だけは「自分は他の人とは違う。圧倒的な才能があるねん」と勘違いしてしまうようです。
そんな人の浅はかさを見抜くように、本書でも以下のような記述がありました。

自分の投資を理解すること
投資の世界には二種類の専門家がいる。一握りのアクティブ運用のトッププロと、市場に勝てるだけの専門チームを持たない、残りの大部分のプレーヤーだ。前者のメンバーは有利な投資機会を見出すために全精力を注ぎ続けなけれならない。それができるのはごく少数の人たちだ。
残念なことに、自分でアクティブ運用のスキルも持っていると錯覚して、コストの高い戦略を採用し、予想どおり失敗するファンド・マネージャーの何と多いことか。

敗者のゲーム

いや、めっちゃ私のことやんか〜〜
そう、アクティブ運用、つまり自分で銘柄を選んで投資を行い、それ相応のリターンを得るためには、圧倒的な努力が必要なのです。
仕事の傍ら投資をしている我々のような人間にとって、もっとも手を出してはいけない勝負なんでしょう。
ただ、私もIT業界に身を置く人間ですから、人より早く仮想通貨への投資を始めていたんです。
そして、最初の方はいくらか価格が上昇していたので、勘違いしてしまったんですね。
「やはり、ワシは天才や! 投資簡単! ヤッホッホホーイ!」
そんな痛い勘違いをしていた私には、本書で記載されている以下の記述が身にしみます。

投資は娯楽ではない。責任である。
投資は本来「エキサイティング」なものではない。むしろ原油の精製や、ICの製造工程のように、じっくりと腰を据えて取り組むべき作業なのだ。投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思う必要がある。ほとんどの投資家にとって、面白そうに見えるものは無視するほうがよい。

敗者のゲーム

ズッキュウゥゥゥゥゥーーーーン!
めっちゃ当てはまってる〜〜
完全にのせられてただけやんか〜〜〜
そう、とある方面では出川ショック(タレントの出川さんが出演しているCMをきっかけに、多くの人が仮想通貨投資を始めたことから)なんて言い方をされていますが、まさにそのショックを受けた張本人ですからね。。。
人は愚かな生き物だ。。。。
しかし、人は失敗から学ぶ生き物なので、今回の失敗を糧とし、新たな投資先に投資すれば良いだろう、という考えをお持ちの方もいると思います。
ようは、「確かに、仮想通貨は大暴落した。でも、暴落する前に売却した人は大儲けしたはずだ。ようはタイミングだ。上昇トレンド、下降トレンドが掴めれば、投資は簡単だよ、坊や」
このように考えてしまう方もいるでしょう。そんな甘ったるい考えについても、本書は膨大な過去データをもとに、バッサリと切り捨てています。

S&P500指数のデータを使って過去75年間という長期期間分析した結果を見ると、この間の株式リターンの大部分は、上昇率のベスト60ヶ月(900ヶ月という長期間のわずか7%だが)に達成されているという。もし私たちに、これがどの月かを見分けることができれば、その利益ははかり知れない。
しかし、それはまったく不可能なのだ。私たちが知りえるのは次のような、単純で、貴重な事実である。
すなわち、もし私たちがこのベストの上昇月を逃したら、まるまる二世代という長期間のわたって蓄積される利益のほとんどを失ってしまうということだ。

敗者のゲーム

いや、何を言っているかまったく分からん!日本語でお願いします!
難しいことが書いてありますが、「短期トレンドを把握するのは無理ゲー。少しでも外したら今までの利益なんか簡単に吹っ飛んじゃうよ」ということでしょうか。
どうやら、投資の世界ではモンスターハンターもビックリのサバイバルゲームが展開されているようです。

敗者のゲーム 感想・レビュー

積立NISAや仮想通貨など、投資に関する多くのニュース、トレンドを耳にする機会が増えた昨今。
本業だけでなく、積極的な投資を始めた方も多いのではないでしょうか。
私もご多分に漏れず、興味本位で投資を始め、痛い思いをした人間です。
ただ、本書に書いてある投資スタイルや、自身のホロ苦い経験をもとに、現在は今までとは違う投資スタイルで投資をしています。
このへんについては、また別の機会に、時間があればコラムかなんかで書いてみようと思います。
この本を読むと、投資の奥深さや、歴史、流行なんかを一通り把握することができます。
非常に歴史がある本ですが、今の投資の世界でも当てはまる、投資の原理原則が書いてあるように思えます。
投資をしてみようかな、という方は、痛い思いをする前に、是非とも本書を手にとってみてください。
きっと、投資のことなんか頭から離れ、より良いハンターライフが遅れるはずです。
それでは、良いハンターライフを。