人を動かす
自己啓発

人を動かす 書評

効能

古今東西で変化することのない人間心理が学べます

こんな人にオススメ

良きリーダー、上司、マネージャーを目指している方

永遠のロングセラー

この本の初版出版日はなんと1937年! 約80年もの歳月を経た現代においても、愛読している方が多い名著となります。
本書を読んだことがない方も題名は知っていたり、書店で見かけたことがあるのではないでしょうか。 おそらく、累計発行部数もとんでもないことになっていて、今更ながらに紹介する必要もないと思うのですが、少しでも多くの方に本書を手にとってもらいたく、紹介することとしました。

私のモラトリアム期間

私が本書を購入したのは10年以上前になりますかね。当時、私は浪人中であり、同棲していた社会人の彼女に振られ、この世の不幸を全て背負っていると勘違いしていました(笑)
働きながら大学受験の勉強をしていたんですが、これといった目標もないまま惰性で日々を過ごしていました。働くと言っても、祖父の仕事の手伝いだったので、そこまで大変ではなかったんです。
当時も元気が有り余ってたので、寝ないでも働けるし、寝ないでも遊べました。で、周りは花の大学生ですから、当然のごとく、遊びまくります(笑)
ただ、人間とは贅沢な生き物で、いくらでも遊んでいいよーと制限をかけられないと、いずれ飽きちゃうんです。そんなことない、という人もいると思いますが、少なくとも当時の私は遊びも飽き飽きしてたんです。
そんな中、何を思ったか突然に読書に目覚めます。それまでも漫画なんかは大好きでよく読んでいたんですが、文字だけの本はあまり読まなかったんです。
一度読み始めると妙な中毒性があり、お金はなかったんですが、毎週、新書を買ったり、Book Offに駆け込んで中古本を買って色々なジャンルの本を読み漁ってました。
まさに読み漁る、という言葉がしっくりくる状態で、多いときには週に5冊くらいの本を読んでいました。おそらく、人生の中で一番本を読んだ期間だと思います。
その中で、哲学や心理学、脳科学の本を好んで読む時期があり、本書に出会うことになりました。
その当時も書かれている内容に感銘を受けましたが、大人になった今に読み返してみると、また違った感動を覚える内容となっています。

今も昔も変わらない人の心

本書は著者が生きた時代、もしくは過去の出来事を例にとって人間心理の奥深さを記述していて、1931年にニューヨーク市で起きた凶悪な殺人事件を例に、人の非合理性、自己都合、利己主義、生存本能を説明しています。1931年に逮捕された通称、[ 二丁のピストルのクローレー ]は多くの人命を奪った凶悪犯でした。そのクローレーが自分のことをどう評していたか、本書での記述を抜粋します。

ところでこの[ 二丁のピストルのクローレー ]は自分では自分のことをどう考えていたのだろうか?
クローレーがシンシン刑務所の電気いすにすわるとき、「こうなるのも自業自得だ —大勢の人を殺したのだから」と、いっただろうか
— いや、そうはいわなかった。
「自分の身を守っただけのことで、こんな目にあわされるんだ」。
これが、クローレーの最後のことばであった。  

人を動かす

そう、人は自分が一番大切で、自己を正当化することが何より優先されることになってしまうケースがあるのです。
この例は非常に極端ですが、皆さんも過去に経験したことがあるのではないでしょうか。今思い返せば悪いのは100%自分なのに、言い訳を言ったり、人のせいにしたり、社会のせいにしたり。。。
これは皆さんの心が誠実ではない、ということではなく、人として当たり前の防御本能であると思います。そんなに簡単に自己を否定したり、簡単に折れるようでは、現世では生存することは難しいですからね。。。
著者のカーネギーが主張しているのは、誰しも自分の中の解釈、正義、価値観を持っているため、人をけなしたり、批判したり、説き伏せようと試みるのは徒労に終わるからやめなさい、というものです。
やられた方は絶対に忘れない、と。
考えてみれば当たり前ですよね。正論とはいえ、赤の他人に説教、説得、セールストークをされても、残るのは遺恨ばかりで、メリットになるものはあまりないですよね。
本書ではこういった複雑な人間心理についてを、適切な例をもとに説明しています。

人を動かす 感想・レビュー

半世紀以上前から人との関わり方を教えている本書を読むと、「技術、時代、価値観は変化しても、人間関係の悩みは普遍なんだなー」と感じます。
みなさん、今も昔も変わらない、生きる上で非常に重要で、かつ普遍的なスキルって何か、ご存知ですか?
それは「人を統べるスキル」です。
このスキルは紀元前の前から、もっと遡ると人が集団生活をするようになってから、絶対的に必要なスキルとして存在しています。いつの時代も村長がいて、リーダーがいて、部の長がいて、国王がいました。
つまり人類が数多くの技術を生み出し続けた過去においても、そしてこれからの時代においても、このスキルは必ず必要となるものであると思います。
そんな、現世を生き抜く上で必要となるスキル、道徳心、信念などを、本書を手にとって学んでいけば、より良いリーダになれると考えています。
そして、この本でも記載があったと記憶していますが、人との関わりにおいて「相手の話を聞く」ということは非常に重要になってきます。冒頭で私のモラトリアム期間(またの名を暗黒黒歴史)の記載があったと思いますが、読み飛ばしちゃった人はいませんかね?
いたら、いますぐ上にスクロールして一文字一文字心を込めて読んでください。
そういうところですよ、人を動かす人にとって大事なところは。
これから人の上に立ちたい方、既に立っている方、是非ともこの永遠のベストセラーを一読ください。