NEWTYPEニュータイプの時代
自己啓発

NEWTYPE ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式 書評

効能

宇宙に出なくとも新たな感性が手に入ります

こんな人にオススメ

サイコミュ兵器が使いたい方。もしくは新しい働き方のヒントを得たい方

ザクとは違うのだよ! ザクとは!

本書は新時代を生き抜く24の思考・行動様式をまとめたもので、新しいアイデアの出し方、働き方、ライフ・ワーク・バランスなんかを学ぶことができます。
現代はグローバリゼーション、ITの普及などによって、つい数十年前とは異なる成果の出し方、働き方が求められるようになってきました。
皆さんご存知の「働き方改革」またの名を「働かない改革」
これまでの働き方は工業製品の生産方法にならった形で行われており、長時間労働=大量のアウトプットとして評価されてきました。
若い方には信じられないと思いますが、陽気な男たちが「24時間〜戦えま〜すか!?」と歌うCMがありました。 24時間。。。私には無理です。
そんなマッドマックスもビックリする世紀末チックな世界観が展開され、目覚ましい経済発展を遂げた後に、多くの日本人が気づき始めたのです。
「いや、これをずっとは無理だわ」
そう、この感覚は正しい。工場生産よろしく大量に生産された同じような人材を長時間労働によって同一の品質の製品、サービスを作り出す時代は終わったのです。
ザクとは違うのだよ!ザクとは!

脱出

日本の経済成長が停滞して久しいですが、世界に目を向けてみると、いかに日本が恵まれている生活をしているかが分かります。
水道、電気、ガス、最近ではインターネットなども含まれるインフラは、ほぼ全ての家庭に行きわたっており、欲しいものはスマートフォンでECサイトに接続すればその場で購入できる時代になっています。
この本の著者も、現代の日本の状態を以下のように記述しています。

飽和するモノと枯渇する意味
現代の日本で生を営んでいる私たちは、日常を安全かつ快適に暮らすために必要とされている、ほぼありとあらゆるモノを手に入れることができる時代に生きています。
たった半世紀のあいだに「憧れの対象」となっていたモノが、すでにあまねく行きわたっているのが、現在という社会です。
このような時代をかつて人類は経験したことがありません。

NEWTYPE ニュータイプの時代

ただ、「モノ」が溢れるこのような状態においても、生きる「意味」を見いだせない人がいるのではないか、と問題提起をしています。
著者はニーチェが提唱した「ニヒリズム」を例に、現在の社会を「意味が失われた状態」に陥っているのではないかと推測しています。

ニヒリズムとは何でしょうか。ニーチェは次のように定義しています。すなわち「何のために、という問いに対して答えられないことだ」だと。「何のために」という問いに答えられない、つまり「意味が失われた状態」こそが、ニヒリズムの本質だ、というのですね。

NEWTYPE ニュータイプの時代

深いぜ ニーチェ。。。
150年前の哲学者が危惧、予見していたような事態が現代で起こっているということでしょうか。
確かに、生きることには困らない人が増え、飢餓の状態に陥る日本人はかなり少なくなってきているし、生活を便利にする家電も各家庭に行きわたっているように思えます。
それは必要なモノ、便利なモノを、役に立つモノを大量に、安価に生産して拡販していく経済の恩恵によるものです。そして、このような時代では、まさに「24時間戦える」人材が重宝されたのです。
「戦いは数だよ、兄貴!」 そんな言葉が全国で叫ばれていたのでしょう。
しかし、モノが行きわたった現代においても、変わらずこの「役に立つモノ」を生産し続ける人を著者は「オールドタイプ」と名付け、希少な「意味」を世界に対して与える人を「ニュータイプ」と名付けています。
本書はこのニュータイプがどのような働き方を目指すべきか、どのような価値を提供するのかを説明しています。
今までの「何のために」は、「必要だから、便利だから、役に立つから」という答えがありましたが、これからの時代においては、その答えは答えになりえなくなってきたのです。
そして、著者は正解を出す力にもはや意味が少なくなってきたと指摘しています。問題に対する正解を導き出す能力ではなく、問題を見つけられる能力が必要になるとも説いています。
このあたりの表現はかなり強烈で、オールドタイプはやる必要のない「クソ仕事」をつくってる、という表現がありました。(笑)
ギレン・ザビよろしく、こう高々に宣言したのです!
「あえて言おう、カスであると!」
そう、我々はこの古い経済観念、生き方、働き方からの「脱出」を目指すべきなのです。

NEWTYPE ニュータイプの時代 感想・レビュー

個人的には、この本に出てくるニュータイプに当てはまる人間はあまり見かけないな、という印象です。
私の周りだけかもしれませんが、最近の新人は優秀というより、やさしい、欲がない、という印象が強いです。
ただ、この本に出てくるようなニュータイプの人材は、大手の企業や一部上場企業には入社しないのかもしれませんね。
それこそ、GAFAなどの外資系企業で1,000万円スタートの年収で手厚い待遇を受けるのでしょう。
また、これからの時代はますます格差が広がる、そして個人の力が試される時代になってきたな、という感覚があります。
YouTuberやインフルエンサーに代表されるように、IT技術の発展によって、埋もれていた才能、個人のスキル、発信力がより簡単に、より早く拡散されるようになってきました。
能力のある人間が自分の生きる道を見つけたり、転職などでキャリアアップしたり、副業などにより異なるキャリアパスを確保したり、経済的な豊かさを手に入れる手段はこれまでと比較して大きく広がってきたと思います。
これは自由経済や個人の独立の観点では大変素晴らしいことだと思うのですが、一方で、そういった能力がない人たちにとっては非常に残酷な結果を招く可能性も高まったと言えるのではないでしょうか。
ただ、近視眼的な観点ではなく、長期的な歴史的観点で見ると、ここ何十年は戦争による死傷者もいませんし、出身の藩によって差別を受けることなく、個人の努力次第では職業を自由に選択できる時代ですしね。そういった意味では、悲観することは何一つないのかもしれません。
かつて、ブライトさんもこう言っていました。
「「与えられたものの中で最大限に考えて生き延びるんだな」」
深い。。。というか十代でこの境地になるんか! どんだけませとんねん!
より良く生きるために、もしくはこれからの働き方を再考するために、是非とも本書を手にとってみてください。
ただし、本書を読んだとしても、サイコミュ兵器が使えるとはかぎりません。



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