世界のビジネスリーダがいまアートから学んでいること
ビジネス

世界のビジネスリーダがいまアートから学んでいること 書評

効能

美術館に行きたくなります

こんな人にオススメ

湯水の如く湧いてくるアイデアが欲しい方

僕らは月にだって行ける

みなさん、最近、美術館や写真展、絵画展なんかに行ってますか?
私はめっきり行く回数が減ってしまいました。以前は年に一回は行っていたんですが、今じゃ数年に一回程度、下手したらその間にオリンピックが開催されちゃうくらい、そういったお洒落な場には顔を出していないですね。
でもみなさん、美術館に頻繁に通ったり、写真を始めたり、絵の具や油絵なんかを趣味にすると、もしかしたら、女優と付き合えて、月にだって行けちゃうかもしれませんよ?
誰とは言いませんが、私の知っている人で、美術館開けるぐらいバスキアの絵を買って、アメリカのクレイジーエンジニアに出資して月に行こうとしている人もいますから。
もう少し古いところで言うと、みんな大好き「馬鹿になれよ!」おじさんのスティーブ・ジョブズも美術を非常に愛していたといいます。
現代テクノロジーが飛躍的な進歩を遂げたいま、なぜアートがビジネスの現場で再注目されているのでしょうか?
本書は美術とビジネスの共通点、そして融合方法をきめ細やかに記述しています。

ハッカーと画家の共通点とは

みなさんはハッカーと画家という著書を書いたポール・グレアムというエンジニア、アーティストをご存知でしょうか。
彼は画家を目指すほどアートと絵画に情熱を注いでいましたが、同時に、生活をするために現実的な仕事を探す必要があることも認識していました。
そして当時、まさに産声をあげ、世に知られることとなるコンピュータ・サイエンスで生計を立てることにしたのです。
生来の熱狂的な性格によるものなのか、彼はコンピュータ・サイエンスの舞台でもメキメキと頭角を現し、非常に早い段階でコンピュータ・サイエンスの学位を修めることに成功しています。
そして、コンピュータ・サイエンスを修めた彼は、その足で、美術学校にも入学しています。

大学院でコンピュータ・サイエンスを修めた私は、絵画をまなぶために美術学校に入った。 コンピュータに関心のある者が絵にも興味があると知って、多くの人は驚いたようすだった。ハッキングとペインティングは別物—ハッキングは冷静で、緻密で、論理的な作業、ペインティングは根源的な衝動に駆られた表現—と彼らは考えたようだ。
このイメージはどちらも正しくない。ハッキングとペインティングには共通点が多数ある。実際、私はいろんなタイプの人を知っているが、非常によく似ているのがハッカーと画家である。

世界のビジネスリーダがいまアートから学んでいること

ハッカーと画家が似ている? イマイチ、ピンとくるイメージはありませんが、彼は色々なことにあらゆる手法で取り掛かるハッカーと画家に多くの類似点を見つけたようです。
彼の書籍は少し古いものとなりますが、現在でも購入可能です。また、英語版であれば、おそらくネット上にPDFが転がっているので、興味のある方は是非とも本書も読んでみてください。


さて、肝心のアートの重要性については、この「世界のビジネスリーダがいまアートから学んでいること」に多くの事例とともに詳細が記載されています。
なぜ、ビジネスにおいて、アートが再注目されているのでしょうか?
それは以前に紹介した以下の書籍にも類似する答えが書いてありました。

つまり、モノが溢れる現代においては、モノやサービスのデザイン、ストーリーが非常に重要になってきているのではないでしょうか。
グローバリゼーションの波を受けて、類似する製品の価格は底知らずで落ちていっています。また、モノづくりやデジタル技術の発展で、モノやサービスの品質、機能は横一線になってきています。
iPhoneにできてAndroidにできない機能なんてほとんどありません。
でも、多くの方から憧れの的になっているのはいつの時代もApple製のiPhoneです。
新型Androidが出てもニュースになることはないですからね。ネットで少し騒がれて終わりです。
なぜ、同じような製品、同じような価格、同じような機能であるにもかかわらず、iPhoneは他の製品と差別化できているのでしょうか?
それはやはり、彼らのデザイン、ストーリーづくりがGoogleの一歩も二歩も先を行っているからではないでしょうか。
アートは無秩序な世界に見えて、ユーザの感受性に訴えること、ものを強く意識しています。
この受け手の感受性に強く訴えかける情熱、手法が、今の画一化するビジネスの現場に必要となってきているのではないかと考えています。

世界のビジネスリーダがいまアートから学んでいること 感想・レビュー

あらためて見るとタイトル長すぎやろ、という感じもしますが、これもきっとアートなんでしょう。そう思うとこの長いタイトルも急にお洒落に感じてきました。
アートとビジネス、言い換えてみれば水と油のように、決して交わることのない両者だと考えられてきましたが、その考えはどうやら時代遅れのようです。
この本の著者は日本人ではないため、海外の事例が多く記載されていますが、外国の方でも、日本と同じように文系、理系、という括りで物事を見てしまう傾向があるようです。
今思うと、あの文系とか理系ってなんなんですかね。
計算得意そうな人とオタクっぽい人は漏れなく理系で、サッカー、野球しかできなさそうな、女の子にモテることしか考えていない、そして実際にモテちゃう気に食わない奴が文系、という括りはなんだったんですかね。
文系ってなんやねん。何が系やねん。大体、文系を名乗っておきながら、理系のオレより本を読んでないやろ!
….すいません
青春の素晴らしい思い出がフラッシュバックしちゃいました。
みなさんも是非とも本書を手にとって、ビジネスとアートの融合という、不思議な体験を味わってみてください。



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