脳が認める勉強法。本の処方箋ブログの紹介記事で使用している。
スキルアップ

脳が認める勉強法 書評

効能

効率的な学習方法が学べます

こんな人にオススメ

資格受験を控えている方、もしくは語学学習をしている方

「学習の科学」が明かす驚きの真実!

出ました、脳科学シリーズ。
お前はどんだけ脳が好きやねん、と言われたらそこまでなんですが、せっかく勉強するなら、できるだけ効率的にやりたくないですか?
ついついコスパと言いますか、少しでも効率的な方法でやりたくなっちゃうんですよね。
ちなみに皆さん、脳のどこに情報が記憶されているか知っています?
一説には海馬と呼ばれる脳器官に記憶が蓄積されていると言われています。海馬、かなり有名な脳の器官なので、ひょっとして皆さんも聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
ブルーアイズホワイトドラゴンというぶっ壊れた性能のカードを出してしまう、あのキャラクターではありません。
海馬は短期記憶や意味記憶を司っていると言われていますが、興味深いことに脳はこの器官以外でも情報を記憶している可能性が高い、という研究結果が本書に記載されています。
その器官は脳の表面を薄く覆う新皮質と呼ばれる器官で、エピソード記憶や思い出などを司っている可能性が高いとのことです。

そういう記憶は一度形成されると、海馬以外のどこかに保存されるということだ。 それが可能な部位は、脳の表面を薄く覆う「新皮質」以外には考えられない。 新皮質には人間の顕在意識が宿る。

脳が認める勉強法

科学の進歩により、とくにこの半世紀で脳に関する新たな事実が浮き彫りとなってきています。
脳は非常に興味深い器官で、ある意味コンピュータに近しいものがありますが、一方で、情報伝達、処理、保存においてはやはり非常にユニークな構造を持っています。
本書では膨大な検証データと最新の脳科学研究から紐解いた脳の習性を説明し、「最強の学習方法」を紹介するものとなっています。

脳は怠け者の完璧主義者

脳は非常に優れた器官ですが、その一方で、非常に怠惰な面も持ち合わせています。
みなさんも身に覚えがあると思うのですが、多くの人は英単語や難解な漢字など、何度も暗記しようとしてそのたびに挫折しています。
脳は非常に優秀な学習器官ではあるのですが、どうもものぐさと言いますか、一度言われるだけでは言うことを聞かない、そして要領を掴まない、まるで高学歴の使えない新人のような側面を持っています。
ただ、この物事を忘れてしまうのは、非常に理にかなっていて、膨大な情報を全て覚えていてはすぐに記憶容量を使い果たしてしまうことが理由であると考えられています。
パソコンのように、これはいらない記憶だから消す。これは絶対に無くしたくないから保存しておく、という器用なことができないんですね。
ではどのように情報の重み付けをしているのかというと、その一つが同一情報に出くわす頻度であると本書で説明されています。
ようは何度も出くわすということは、自身の生命活動にとって、よほど大事なことなんだと脳が認識するのだと思います。
ただし、闇雲に何度も覚えようとするのではなく、記憶の定着にはあるパターンがあると本書の文中で述べられています。

記録をつけ始めると、しだいに一つのパターンが見えてきた。 1回勉強すると、新しい単語を2、3日覚えていられた。そして翌日に復習すると、覚えていられる時間が一週間前後に伸びた。その一週間後にもう一度復習すると、一ヶ月近くたってもその単語を思い出すことができた。

脳が認める勉強法

そう、みなさんもご存知のエビングハウスの忘却曲線を利用するのです。
なんとなく繰り返すのではなく、本書に載っている頻度で学習すると、記憶の定着率が圧倒的に増えるとのことです。
ちなみに、このあたりの脳の仕組みについては、以前にご紹介した以下の書籍にも記載がありました。興味がある方は是非ともこちらもチェックしてみてください。

脳って面白いですよね。なぜこのような仕組み、仕様にしたかは不明ですが、きっと進化の過程で我々が知る由もない理由でこのアルゴリズムを取り入れたのでしょう。
そしてもう一つ、記憶の定着に有効な手法として、ツァイガルニク効果が紹介されています。
この舌を噛みそうな効果はおそらくツァイガルニクさんが考えたんでしょう。名前からして賢そうな東欧の雰囲気を醸し出していますが、私も詳細を覚えていません。
興味がある方は本書で読んだ時に、「あ、あいつが言ってたやつだ」と思い返してください。
それによって、より深く記憶に定着するかもしれません。
そしてこの肝心のツァイガルニク効果なんですが、ようはある作業が完了するまでに中断されると、その続きが気になって、その作業がずっと頭に残ったままになる、という効果みたいです。
脳は怠け者のくせに完璧主義者でもあるようで、あるタスクを始めると、それを意地でも完了させたくなるとのことです。
本書ではツァイガルニク効果を利用した例として、以下の文が記載されています。

テレビドラマの脚本家も、シーズン1が終わるとき、シーズン2を視聴者に期待させる終わり方にする。だから、叫び声、真っ黒な廊下から聞こえる足音、予想外の人間関係の破綻で最終回の幕が閉じる。 この種の邪魔は謎を生む。それに、ツァイガルニク効果により、未完のエピソード、章、作業が脳内リストの上位に押しやられ、次はどうなるのかという気持ちにさせられる。
それこそまさに、長期にわたって何かを成し遂げたいときの理想の状態だ。

脳が認める勉強法

たしかに〜。ドラマの続き気になる〜。そして、誰かとついつい話しちゃったりする〜。
どうやらどのドラマもショッキングな終わり方で1話が終わるのは、ちゃんとした理由があったようです。
本書では脳の仕組み、そしてその仕組を利用した学習方法について、かなりの文量で説明されており、資格取得や試験勉強に励む方にとって、非常に有益なものになっているのではないでしょうか。

脳が認める勉強法 感想・レビュー

中々にボリュームがある本書ですが、効果的な学習方法とその裏付けが知りたい、という方にはぴったりなのではないでしょうか。
本書を踏まえて、私が考えた「最強の学習方法」は、

意中の異性を見つけ、どうにかアプローチしてその恋を成就させる。もちろん、その最中に学習は欠かさずに。その後に勉強しながら数多くの初体験を経験し、エピソード記憶として記憶を定着させる。そして、彼女に振られ、失意の底に叩きのめされながらも、「この強烈な感情にフックされた記憶は絶対に忘れない」ということを肝に銘じ、失意のまま学習を続ける。何度も訪れる元彼女との甘い記憶のフラッシュバックを利用し、適切な間隔で復習をする。そして、元彼女と思い出が詰まった場所を訪れ、五感で学習の効果を最大にし、数多くの試練を乗り越え、難関大学に合格し、入学式で「これでやっと彼女を忘れられる。オレの青春はここからだ」という想いを強くした時に、

元彼女「え、〇〇くん?」

という青春を経験してください。

きっと、一生モノの記憶になります。
何を言っているんだか自分でもよくわからなくなってきたので寝ます。
みなさんは本書を利用して適切に青春してください。